工場の１つはイタリア東部のマルケ州にあります。東にアドリア海、西のアペニン山脈に挟まれ中世から栄えた港町を州都に持ちます。工場は海と山の丁度中間のエリアのモンタッポーネにあり、昔から農業が盛んな地域です。農民文化のルーツから、藁（わら）を編む伝統が生まれ、帽子の生産が始まりました。古代より伝わる藁（わら）芸術の歴史と文化の記憶が現地の帽子博物館にあり、多くの資料や工芸品が収蔵されています。ここには、イタリアの映画監督　フェデリコ・フェリーニが最後に着用した帽子も誇らしげに保存されています。

　農民文化が教えてきたように、自然が提供するものを無駄なく使用する事でこの地域は発展してきました。その為、藁（わら）だけでなく他の天然素材（羊毛、フェルト、麻、パナマ草、布帛）を使用して生産を多様化し、創造性と革新性の伝統に継続性をもたらしています。